大切な小児矯正の話

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小児矯正の本質

小児矯正の本質

矯正治療は、永久歯が生え揃った大人になってからでも行えます。では、あえて子供の頃に小児矯正を行うのはなぜでしょうか? それは、子供のときにしかできない治療のアプローチがあるからです。

当院が重視しているのは、歯ならびの発育を正しく促すことで不正咬合をできるだけ予防する治療です。身体が日々成長していく幼少期だからこそ、顎の骨の成長を適切な方向へ導き、健全な歯ならびと咬み合わせをつくることが可能になります。大人になってからも「歯を抜く」「削る」「器具で矯正する」といった治療は可能ですが、小児矯正は成長の力を利用する形で、負担なく歯ならびと咬み合わせのバランスを整えていけます。

「咬む」「しゃべる」「呼吸する」といった口腔機能は、子供の時にしか伸ばせません。末永く健康な口腔内環境でいられる土台を整えることに、小児矯正の意義があると考えています。また、小児矯正のあとの本格的な矯正(II期治療)に入った際、その負担を軽減できることも大きなメリットです。

お口の力を育てることが不正咬合の予防につながります

お口の力を育てることが不正咬合の予防につながります

軟食化、アレルギー疾患の増加から、お子さんのお口の力(呼吸・嚥下・咀嚼)が育ちにくくなっているようです。「ものをしっかりと咬まなくなったこと(咬む必要のある食事が減ったこと)」、「舌がしっかり機能していないこと」が歯ならびの成長を阻害する要因になっています。

お口の問題をクリアする事で自然成長を促します

お口の問題をクリアする事で自然成長を促します

「咬む」「飲み込む」「しゃべる」「呼吸する」といった日頃の仕草から「悪い癖」を取り除き、健全・活発に行えるようにすることで、7~8歳のころに起きる上顎骨の成長が促されます。この時期の上顎骨成長が十分に行われることで、思春期に訪れる下顎骨成長も良好になり、骨格が整っていきます。お口の問題をクリアすることで、なるべく自然に健康な歯ならびを手に入れていただくよう治療・サポートを行うのが当院の役目です。

お口の問題に気づくための10のポイント

チェック項目と対策

1よだれがよく出ていませんか?
対策口唇を閉じる力を鍛えるトレーニング
2食べる時にくちゃくちゃ音がしませんか?
対策舌の正しい使い方を習得し、口唇を閉じる力を鍛える
3お肉などの歯ごたえのあるものが噛み切れないことがありませんか?
対策舌の力を強化し、嚥下時の舌の使い方を指導する
対策チューイングガム咀嚼トレーニング
4早食い、またはいつまでもだらだらと食べていませんか?
対策正常嚥下の練習、チューニングガム咀嚼
5お茶やお水で流し込んでいませんか?
対策正常嚥下の練習
6テレビを見ているときにお口がぽかんと空いていませんか?
対策鼻詰まり、扁桃腺肥大のチェック口唇閉鎖力を鍛える
7いつも唇が渇いていませんか?
対策口呼吸とその原因のチェック、口唇閉鎖力を鍛える
8幼児言葉がのこっていたり、聞き取りづらい発音や発声がありませんか?
対策舌のちから、動きのチェック。舌の筋力を鍛え、使い方を指導する
9口に何かを入れる癖がありませんか?
対策不安や緊張の解消、心理的欲求不満が原因の場合があるため、無理にやめさせようとすると逆効果。前向きな声かけで徐々に離れていくように誘導する。
10寝ているときにいびきや歯ぎしりがありませんか?
対策日中に低位舌や食いしばり癖が見られるかのチェック。舌のトレーニング、咀嚼筋のリラックストレーニング。
11夜尿症がありませんか?
対策就寝時口唇閉鎖不全のチェック。

不正咬合の種類

  • 出っ歯(上顎前突)

    出っ歯(上顎前突)

    上顎前突とは、上の歯が下の歯よりも前に出過ぎた状態のことを言います。上の歯が大きく傾くことで出っ歯になっている場合(歯性の上顎前突)と、下顎に比べて上顎全体が前方に突き出ている場合(骨格性の上顎前突)があります。

  • 受け口(下顎前突)

    受け口(下顎前突)

    下顎前突は、下の歯が上の歯より前に出ており、咬み合わせが上下で逆になっている不正咬合のことで、「反対咬合」「受け口」とも言われます。咀嚼機能が低下したり、「サ行」の発音が不明瞭になったりするなどさまざまな悪影響が起こるほか、顎が正常に育たない可能性が高まります。

  • 叢生

    叢生

    叢生とは、歯がしっかり横に並ばず、重なり合ってデコボコになっていたり、ガチャガチャになっていたりする状態です。「乱ぐい歯」とも呼ばれます。有名なところでは、「八重歯」も叢生の一種です。歯が大きすぎたり、顎の大きさ、特に横幅が足りないことで歯が生えるスペースに不足が生じ、ガタガタになってしまいます。

  • 過蓋咬合

    過蓋咬合

    咬み合わせたときに、上の歯が下の歯に著しく深く覆い被さっている状態のことを過蓋咬合と言い、「ディープバイト」「クローズドバイト」とも呼ばれます。咬み合わせたときに下の前歯がほとんど見えなくなってしまいます。

  • 開咬

    開咬

    口を閉じた状態で奥歯しか咬み合わず、前歯が咬み合わない(前歯の部分が開いてしまう)状態を「開咬」といいます。「オーブンバイト」とも呼ばれます。前歯が咬み合わないため、前歯でものを噛むことが苦手になります。そのため、奥歯に負担がかかりやすくなります。

  • 正中離開

    正中離開

    「すきっ歯」や「空隙歯列」とも呼ばれ、歯と歯の間にすき間ができている状態です。顎の大きさに比べて歯が小さい、あるいは歯の本数が不足していることなどが原因で起こります。歯磨きがしにくく、虫歯になりやすかったり、発音に問題が起きやすくなったりします。

  • 非対称

    非対称

    顔の曲がり、顎のズレ・曲がり、咬み合わせのズレなど感じ方はさまざまですが、お顔が左右非対称に感じられる状態を総称して非対称と言います。咬み合わせが左右でずれているために顎の成長に偏りが見られる場合や、どちらかばかりで咬む癖があった場合などに発生します。